危機と連絡
イージス艦「あたご」が漁船と衝突した事故は、またも「防衛相や総理への連絡が遅い」「初動ミスだ」との批判が噴出しています。
危機管理を考えるうえで、報告・連絡のスピードはきわめて重要です。僕がPRの仕事をするときも、クライアントから危機発生の連絡があれば、ほかの仕事を脇に置いて、「リアルタイム」で対応するようにします。
これには合理的な理由があるからで、何も採算度外視でやるわけではありません。とりわけ「リテナー」とよばれる長期契約のクライアントの場合、「いざというとき(危機的な状況で)頼りになる」という評価を得ることは、とても重要なことだからです。
特定の活動を短期で行う「スポット/プロジェクト」と比べ、リテナーは継続こそ命です。長期間にわたって仕事をしていれば、うまくいくこともあれば失敗することもあります。ただ、「あのとき助かった(助けてくれた)!」という、いわば原体験をクライアントに持ってもらえたら、その“残像”がもたらす効果は実に大きいもの。
だから、危機対応それ自体は採算割れの過剰サービスかもしれませんが、ある意味で先行投資だと考えるようにしています。
さて、イージス事故に話を戻すと、事故発生が19日0407、あたごが海上保安庁に事故報告したのが0423。0500に防衛省へ情報が回り、福田総理0605になって電話が入った、と日経新聞は伝えています。約2時間後です。福田総理は激怒したそうですが、当然でしょう。
官僚組織の弊害とか、さまざまな指摘はさておき、意外とこの種の問題は、情報をもらえない当人の、自業自得であるケースが多い気がします。福田さんがどうなのか詳しくは知りませんが、情報が途中で滞留している段階で、福田さんなり、その取り巻きの人たちの「評判」が、情報の流通を遅らせた可能性はあります。
たとえば、「あの人は無駄な報告で邪魔をされると機嫌悪いんだよな」といった、きわめて俗なレベルのことです。とくに、個性の強い政治家に関して、よくあるようです。過去に、よかれと思って報告した部下を怒鳴りつけ、それが逸話になっているとか。。。
僕が記者をしていた当時も、似たようなことはよくありました。いろいろな情報を逐一、出先の記者に電話で教えてあげると、丁寧に礼をいう人と、「この忙しいのに、くだらんことで邪魔しやがって」と言わんばかりの人と。。かけるほうは、この情報を知らなかったら恥をかくだろうと思い、善意で電話しているのですが。
優秀な記者ほど、どんなに忙しくても「ありがとう」と言います。そういう人には、さらに情報が集まり、いい仕事が回ってくるものでした。
勝手に(根拠もなく)福田さんをダシにしてしまいましたが、そんなことをふと思いました。
| 固定リンク
「政治とコミュニケーション」カテゴリの記事
- 東国原知事のPR能力(2009.06.26)
- 「友愛」とは(2009.05.26)
- 橋下知事の「部長総取っ替え」(2009.04.08)
- 小沢代表の会見 いまだ残る「欠点」(2009.03.15)
- いま民主党のPR担当だったら(2009.03.07)


コメント